2020-09-19

銀座の観世能楽堂にて坂口貴信之會。
ちょうど国のイベントの開催制限の緩和が今日から適用され、伝統芸能など大声を出さない鑑賞形態は客席100パーセントまでの着席がオッケーとなったが、感染リスク自体がなくなったわけではないのは言うまでもなく。というわけで、本日もソーシャルディスタンシング仕様。一席ずつあけての鑑賞となる。

久々の亀井広忠先生の大鼓も、野村太一郎の「悪太郎」も、いまとなってはすべてが愛おしい。なにより坂口の「砧」。間狂言は野村萬斎。待つこと。しかしその日はやってこないこと。舞台と自分が融解する感覚は久しぶり。やはり能はすごい。

それにしても大丈夫なんだろうか、能は。新型コロナの影響は、弱いところにこそ大きく出る。私なんかが心配することではないが、いちおう松竹がある歌舞伎、国が支える文楽、寄席や協会が機能している演芸に比べると、能狂言を支える土台はいささか心許ない。
面も装束も楽器も、国宝級のものが個人の管理に委ねられている。能楽というフォーマットについて言えば、ユネスコの無形文化遺産に指定されているにもかかわらずだ。
クールジャパンとか言ってばらまいてる無駄ガネの一部でいいから、回してはもらえないものだろうか。