JRのある駅でウンゲツィーファ本橋龍と落ち合って、うっそうと緑の茂った住宅街を彷徨う。ここは本当に新宿区なのだろうか。ようやくたどり着いたマンションは見た目からしてユニークで、たしかにその人の住処に相応しい。インターホンを押すと娘のくるみちゃんが顔を出して、「どうぞ」。リビングでその人はすでにウイスキーをちびちび始めている。
「面白いマンションですね」
「東京オリンピックの年にできたらしいんですよ」
少し赤ら顔の飴屋法水が答えた。本橋はさっきから部屋をキョロキョロしている。
このシチュエーション自体が演劇のようだった。