「若き藝能者たち」なんて連載をやっているため、これまで何人もから「いつになったら書くの?」と言われ続けている藝能者がいる。自分でも避けて通れないのはわかっている。高座だって何度も観ている。僭越ながらその人を構成する成分は、かなりの割合で自分と被ってもいて、もうなんだかよくわからないのだ。だから、ある瞬間にいちファンでいようと決めた。そういうことだ。でも、ふとお会いしてしまった。思わぬ仕事の依頼だったので、つい受けてしまったのだ。その人――春風亭一之輔は、私を見るなり、「どついたるねんの先輩に会ったことがある」と告げた。