国立劇場で文楽。第二部「鑓の権三重帷子」を。近松物なんだけど長らく再演されていなかったのが、明治期に再び光があたった作品というだけあって、メロドラマとしても面白い。ヒロインに進取な気性があるのね。
終演後、同公演で太夫を務めた竹本織太夫さんと、集英社のTさんと赤坂の〈鳥よし〉で一杯。
Tさんは数年前、私を文楽鑑賞の道に引きずり込んでくれた方で、そのときのイチ押しがまだ咲甫太夫時代の織太夫だった。その後、襲名など折りに触れ、織太夫について原稿に書いてきたのを本人がチェックしてくれていたらしく、Tさんを通して「飲みましょう」とお誘いいただいたのだった。
想像していたことだが、織太夫さんの話がとにかく面白い。ご贔屓に配ってる織太夫グッズも凝りまくり。遊び、のなんたるかを知っている。
伯山先生のこともずいぶんチェックしてらして、文楽でもYouTubeをやるべきだろうか、と言うので、そんなのもちろんイエスでしょうと。ちなみに二代目の竹本織太夫(のちの六代目綱大夫)は、二代目神田伯山のお墓を建てる際に寄進した一人でもあるとのこと。縁もゆかりもあるという。
明日も出番を控えた織太夫さんをお見送りし、Tさんと新宿へ移動。〈まこと〉で一杯。私は周りの編集者に恵まれていると思う。